「アルバム研究所」の活動の第一段として、大阪教育大学 小崎恭弘准教授の元で、「アルバムづくりが育児に与える影響」の予備調査な位置付けとして始まった研究が紀要論文として公表されました。
大阪教育大学紀要論文(小崎恭弘・城戸楓・石田文弥)及び、関連調査結果より抜粋
K府の育児講演会の参加者に対してアンケートを実施。その結果を元にして、分析を行いました。
有効アンケート146名(女性132名、男性14名、平均年齢42.6歳)を分析。
分析対象者の子供の数は平均2.23人、年齢は平均11.21歳、分析者のうち113名(77.4%)が仕事を持っている。
・・・ 50%が「スマホ」と回答。
大多数の人が、普段、スマホで写真を撮っている事が分かりました。
次いで、デジカメ、デジタル一眼と続く結果となりましたが、
フィルムカメラなどのアナログ機器の回答者はいませんでした。
・・・ 子どもの成長記録、家族の思い出が約半数
「子どもの成長記録」、「家族の思い出」という回答の割合が比較的高く、
思い出を振り返る記録媒体として活用されていることが分かりました。
逆に、割合が低い回答ほどデータでも問題がないものが多い様に思われます。
・・・ 半数以上の人が「ない」と回答。
この結果は、現像と同様に、アルバムづくりの習慣が薄れていることが考えられます。
次いで、「2~9冊」が多く、子育て期の写真をアルバムに収めていることが考えられます。
一方で、10冊以上と、アルバムづくりに熱心な家庭もいることが分かりました。
・・・「子ども」「夫婦」「家族」が約9割。
最も多いのが「子ども」のアルバムであり、
育児の中で写真撮影の機会が多いことが要因と考えられます。
次いで「夫婦」のアルバムが多いのは、結婚式や記念行事の写真が多い事が考えられます。
育児に関するアンケートでは、育児の二面性である「楽しさ」と「大変さ」に該当する項目が、それぞれ高い比率で回答されました。
この相反する感情が共存する中で、育児が行われている事が分かります。
これらのアルバムや育児に関するアンケート項目から分析を行い、育児に対する状態の把握を行いました。
まず、回答者の育児状況を把握するために、育児についての項目と回答について分析しました。
その結果、育児に関する3つの要素、「育児上の悩み」・「家族関係の良好さ」・「生活上の余裕」が抽出され、それぞれの数値の平均点も割り出されました。
また、この要素と各項目との関係を測定したところ、所持するアルバムの冊数や、写真を見る頻度などで相関がある可能性が分かりました。
育児に関する意識とアルバム冊数の関係を分析する為、回答者を抽出した要素の点数毎にネガティブ、二ュートラル、ポジティブの3グループに分け、 そのグループごとに平均する所持アルバムの冊数を割り出しました。
結果、子どもの写真のアルバム冊数では、子育てにポジティブな群が、ニュートラル群よりも多くアルバムを所持している傾向があり、
また、家族写真のアルバム冊数でも、同様にポジティブな群が他のグループに比べアルバム冊数を多く所持していることが分かりました。
このことから、子育てにポジティブな親は、写真を実際に現像し、アルバムをより多く保存していると考えられます。
「1」の要素と各項目との関係をより詳しく分析を行いました。
その結果、それぞれの要素に対して、良い影響があると考えられる項目も分かってきました。
デジタルが主流となる現実が鮮明となる一方で、 アルバムが、育児や家族関係に良い影響を与える可能性が分かってきました。
写真を取り巻く環境は大きく変化しています。
スマホの普及によって気軽に撮影ができる一方、写真がこれまで持っていた「ハレの日」等の記録の希少性が薄まっていると考えられます。
しかし、分析では、子育てに対してポジティブな家庭ほど、多くのアルバムを所持していることが分かり、
紙媒体としてのアルバムが家族関係や子育てに対してポジティブな関係性にあることが分かってきました。
更に、「子育て上の悩み」・「家族関係の良好さ」・「生活上の余裕」という3つの要素に対して、
それぞれに良い影響を与える項目についても、その可能性について明確となってきました。
"今の「アルバム」を知る"をコンセプトに、学術的な研究やアンケートなどを中心に発信を行うWebメディアです。
アルバムづくりをする意味や効果を解明することで、アルバムづくりのサポートに繋げていきます。
ナカバヤシ株式会社